ICP98 参加校の状況(葺合編)  

 葺合高等学校では2年生および3年生の英語科EE(英語表現)の授業でICPに参加した。このEEのクラスは2年、3年とも1クラスを2分割したクラスで、小人数で英語を使った様々な表現方法をALTとともにティ−ムティ−チングの形態で学習している。インタ−ネットクラスル−ムへの参加にこの2クラスを選んだのは、現在本校はハ−ド環境(生徒用:テキストのみ入力可能パソコン15台、教師用:Windows98マシン1台)にあり、小人数での参加を余儀なくされたためである。しかし、来年度は市による高等学校用コンピュ−タ−システム入れ替え(Windowsマシン40台)が実施されると同時に、こねっとプランにより既存の神戸市防災ネットと生徒用コンピュ−タ−が接続され、生徒が直接インタ−ネットにアクセスできるようになるので、状況は大きく改善されるものと期待している。

 上記参加生徒のうち、3年生は、Guess Whatのコ−ナ−に参加した。Guess WhatはICPの掲示板を使ったコ−ナ−であるが、本校ではReal Videoを使って日本独自のもの、例えば、ふろしき、まきす等をクイズ形式で紹介した。

 (http://www.kobe-school.net/G-J/pictures2/guesswhat.html)*要パスワ−ド

 授業の中では、まず、生徒14名を7グル−プに分け2人づつのペアを組んだ。次に、紹介すべきものを考え、それについての短いスト−リ−を作成。小道具を使ってプレゼンテ−ションを行ったものをビデオに撮影した。最後に、撮影したものをReal Videoのファイルにコンバ−トし、それをWebに掲載した。ところで、このReal Video化したファイルであるが、http://www.real.comにあるプログラムを使った際にG2という新しいプレ−ヤ−でしか再生出来ない形式で保存したために、MACには対応していない等の様々な条件が重なり、海外校では映像を見ることが出来ないという状況があったようである。これは今後注意を払うべき事態である。

 2年生のEEクラスは4月当初より、インタ−ネットを利用した交流を授業の中で実施してきた。年間を通しての交流相手には、学期の違いやメ−ル交換の頻度を考慮して、特定の学校ではなく、複数の学校を選び計画に組み込んだ。今回初めてコンピュ−タ−を扱うという生徒が大半であったため、最初の授業では操作法よりもまず、写真を取入れた自己紹介文を画用紙に英語で書き、手書きホ−ムペ−ジを作ることから始めた。そして、2度目の授業で出来上がった手書きのホ−ムペ−ジをスキャナ−で読み込み、パスワ−ドで保護されたディレクトリ−に置き、交流している相手だけに見てもらうことにした。  (http://www.kobe-school.net/G-J/pictures2/)

 3度目の授業にしてやっと、コンピュ−タの基礎的操作法(起動法、エディタ−の使い方等)を指導し、電子メ−ル作成の基礎作りをした。今回初めてキ−ボ−ドにさわった生徒の中には、キ−の位置に戸惑う場面も見られたが、操作に慣れている生徒の助けもあり、すぐにほぼ全員がスム−ズに英文を入力することができるようになった。

 基本的操作法をマスタ−したところで、次はBiopoemを使った自己紹介作成に取り組んだ。Biopoemとは、自分の好きなもの、恐れるもの、信条等を詩の形式で表現するものである。このBiopoemをハワイのICP参加校であるWaipahu高校の生徒たちと交換し(ISDNTV会議のため)、また、上記サイトにも置いた。

 その後の授業では、テ−マを決め、そのテ−マに添って作品を作っていくという作業を繰り返した。Kotowaza on the Web(http://www.kobe-school.net/kotowaza/)はその中から生まれたものであり、オンラインマガジンであるMidLink Magazine(http://longwood.cs.ucf.edu/〜MidLink/)にも紹介された。同様の経緯で作成したのが  Housing in Japan (http://www.kobe-school.net/housing/)である。後日ICPのクラスル−ムの1つになった Housing BBS (http://www.kobe-school.net/housing/bbs2/)はこのHousing in Japanをもとに作成したものである。授業では生徒14人を数グル−プに分け、項目ごとに調査、ペ−ジ作成を行ったが、(詳細はHousingの項参照)調査→編集というプロセスに慣れていないせいか、生徒にとってはかなりの負担となったようである。しかし、それが逆に達成感に結び着き、生徒からは、「とても難しかった。でもやり遂げたあとは充実感があった。」という感想が多くよせられた。

 2学期になってからはハワイとのISDN TV会議のため、授業の大半をその準備に費やす必要があったが、ドイツとのメ−ル交流、ICPカレンダ−などもこれと並行して進められた。メ−ルの返事がこない等の理由で授業が進まないというような事態が起こることを懸念しての策であったが、生徒の中には戸惑いを感じる者もいたようである。

 今回これらの取り組み結果から、授業の中でインタ−ネットを利用するに当たっては、ICPのような仮想クラスル−ムを用いたプロジェクトは非常に有効であると実感できた。授業での活動を、グル−プ別のトピックベ−スのものにすることが出来るということがその主な理由だが、その対極に、従来の電子メ−ルベ−スでは話題が個人的なものなのか全体に対するものなのかという区別がつきにくく、また、話の流れも整理することが困難であるということがある。他にも、掲示板を利用したICPのような正式を取ることで参加校がそれぞれの授業の進行に合せてプロジェクトを選択することができる。プロジェクト終了時にはそれを学習成果(プロダクト)として残すことができる。そのプロダクトを次年度も継続して利用することもでき、またそれをさらに改善してよりよいものを作っていくことも可能であるという様々な利点もあげることができる。

 以上の事を踏まえて、仮想クラスル−ムを用いたプロジェクトは、今後ますます増えてくるインタ−ネットを利用した授業を円滑に進め、さらに意義ある内容に高めて行くための一手段として認識すべきものであると考えている。