ICPスクールカレンダーについて

神戸市立葺合高等学校 桝井伸司

1 設置目的

  このICPスクールカレンダー設置には3つの目的がある。1つは、授業計画に海外との交流を取り入れる際の時期決定に役立てるということ。2つめは、生徒たちが各自のクラスルームカレンダーに書き込まれた行事を見て、お互いの学校で行われている行事について知り、さらにその行事について様々な情報を電子メールで交換することにより相互理解を深め、文化交流をも実現させるということ。

  また、近年インターネットによる学校間国際交流は、コンピュータの普及・授業への導入等により活発化しつつある。その一方で、それにともなう問題も増えてきている。一例に次のようなものがある。

  相手校が定期考査・長期休暇中であることを知らずに、日本側から電子メールを送ったために、その返事が思うように返ってこない例。また、逆に、相手校が頻繁に交信を求めてきた時期と日本の夏期休暇が重なり、交信が途絶えがちになってしまう例。これらの例は、国毎で学期が違うために起こる問題である。これらの問題の解決が、設置目的の3つめである。

図1:ICPスクールカレンダー概観

http://www.kobe-school.net/icp/Calendar/index.html

  上図はICPスクールカレンダーの最初のページである。ICPスクールカレンダーへは、ICPホームページ(http://210.163.117.210/~icp98/)からCalendarを選択することによってたどり着くことができる。

  上図のようにICPスクールカレンダーは国別にスクールカレンダーが設置されている。当初は、1つのスクールカレンダーに複数の訪問者が参照・記入できるようにしていたが、国別のほうがそれぞれの特徴がわかりやすく、行事の時期の参照が容易であることから現在のスタイルに改めた。

  それぞれの国をメニューから選択すると、下図(図2)の画面になる。

図2:国別カレンダー(USA

98icp-calendar2.gif (10254 バイト)

図3:国別カレンダー(USA)拡大

 図2のように、カレンダーは月別表示で、それぞれの日付をクリックすることにより、各スクールイベントの参照、書きこみが出来るようになっている(図3)。なお、参照については、インターネットに接続できれば誰でもできるようになっているが、書き込みに当たってはメンバー登録が必要である。これはスクールカレンダーへの不適当な書きこみを防止するためである。しかし、もしそのような書きこみがあった場合でも、管理者権限で書き込みを削除することができ、メンバーからの削除も可能である。

2教師と生徒のプロフィール

  現在、設置している9ヶ国のカレンダーのうち、5カ国のカレンダーについてメンバーからの書き込みがある。以下は各国のカレンダーへの書き込み一覧である。

国名

書きこみ者(校名・教師生徒別)

オーストラリア

Footscray 教師

日本

葺合・帝塚山 教師・生徒

韓国

Shin jung 教師

スウェーデン

Vaggeryds教師

アメリカ

Kennewick,Waipahu教師

  上記の表からもわかるように現在は主に教師による交流時期設定のための利用が多い。しかし今後は、教師・生徒両立場からの利用、特にカレンダーの行事内容についての交流が増えてくることが予想される。

  例えば、図3にあるDrug Free Weekなどはその学校独自の行事のため、生徒は見ただけでは内容を理解できない。そのような時に、電子メールを送って内容について相手校に質問する。質問を受けた側はその質問に対して解答を送ってくる。ここに交流が生まれる。このようなやり取りは、スクールカレンダーが定着するにつれて増えてくるだろう。(実際に、この疑問については、書き込みをされた先生から丁寧な解答を頂いている。)

3 交流の実際

  葺合高校では英語表現(EE)のクラスの1グループをあて、カレンダーへの書きこみを実施した。このカレンダーへの書きこみには、ICPとは別のプロジェクト(ISDN TV会議)の発表の為にグループが用意した資料を利用した。

  2で前述したように今回のスクールカレンダーの設置は教師間の交流に関しては十分役に立つものであった。しかし生徒間での交流は、今年度に関しては実現できなかった。その理由としては、授業計画への早期組み込みが不充分だったことがあげられる。今後は、早期組み込みを課題として、授業の中で生徒間交流を実現させていきたい。

4 教師の果たす役割

    ICPスクールカレンダーを効果的に利用するためには、教師による生徒へのサポートは不可欠である。教師の果たす役割は、生徒の交流を順調でなおかつ有意義なものにするための手助けをすることである。そのためにも、教師は学期開始日、休暇、生徒が登校しない日、休日等の日程を早い段階で書き込んでおかなければならない。

  それに対して生徒側の役割は、体育祭・文化祭・マラソン大会等のイベントの内容を出来るだけ詳細に書きこむことである。詳細な書き込みは、交流を進めていくうえで非常に大切なことであり、より深い交流につながるかどうかを決定づけることでもある。この書き込みの段階においても教師の適切な指導が求められる。

5 今後の課題

  今回のこのICPスクールカレンダーの設置はそれなりの成果を得たと実感している。今後国際交流を継続していく第一歩として、まずはその土台が出来たのではないかと思う。

  今後の課題としては、授業の中でいかに有効的に活用していくか。行事内容について、文化的背景をも組み込んだより詳しい説明を目指すためにどのように指導していくべきか。また、交流の結果を発表出来る機会をどのように設けていくべきかである。他にもまだ徹底していくべき課題は山積みであるが、継続して海外校への書き込みを促していくつもりである。この継続こそがスクールカレンダーの充実、設置目的である交流の親密化、広い次元での情報収集を可能にしてくれるものであると考える。